アプリケーションの可用性を高めるため、どの企業でも、その規模に関係なく、ディサスタリカバリー(DR)のためのセカンダリ・サイトを持つ必要があります。最新のテクノロジーにより、プライマリ・サイトに問題が発生しても、セカンダリ・サイトにおいてワークロードを処理する機能がただちに提供されます。

これまでDRサイトは、さまざまな理由から大規模企業のみを対象としたソリューションでした。ところが、 ディサスタリカバリー・サービス(DRaaS)のような、新たなテクノロジーやサービスのおかげで、DRサイトは企業の規模に関係なくアクセス可能で、コスト効率の高いものとなっています。

仮想化の普及

ディサスタリカバリー・ソリューションが爆発的に拡大した主な要因が仮想化であることは間違いありません。これまで、データとアプリケーションをセカンダリ・サイトにレプリケーションすることは、ストレージ・アレイの機能を利用することでしか実現できず、すべてのソリューションにネイティブのレプリケーション機能が備わっているわけではありませんでした。その上、ストレージ層でのレプリケーションには2つの落とし穴があります。

  1. テクノロジーの観点からすると、ストレージ層のレプリケーションでは、両方のサイトで同一モデルまたは同一ブランドのストレージを採用する必要があります。これは、各レプリケーション・テクノロジーが独自のものだからです。このことは、プライマリ・サイトと同じ規模や性能のセカンダリ・サイトを作ることができる大規模組織では問題にはなりません。しかし、中小規模の企業には、プライマリ・サイトとセカンダリ・サイトの両方に同じ予算を投資するための十分な資金やメリットがありません。中小規模企業にはもっとコスト効率の高いソリューションが必要です。
  2. ストレージ層でのレプリケーションは、レプリケーション・ポリシーを細かく調節できるだけの粒度がありません。ストレージ・アレイは、ホストするワークロードを考慮していません。データベースとファイル・サーバーの両方が同じ場所に格納されている場合、これらは同じポリシーを用いてレプリケートされます。このため、管理者がワークロードを別々の格納場所に分けない限り、異なるワークロードのために異なるポリシーを作成し、異なるRPOとRTOを取得することは困難です。ただし、ワークロードを別々の格納場所に分けると、追加のオーバーヘッドが発生し、さらなる管理、監視、ITリソースが必要となります。

一方、仮想化は、レプリケーション・サービスのアクセス、構成、使用を容易にし、2つの主要な落とし穴を排除できます。仮想化の場合、管理単位が巨大で扱いにくいストレージ・アレイから柔軟性の高い個別の仮想マシンに変わるため、ワークロードごとに個別のRTOとRPOを定義することができます。IT管理者は、特定のワークロードを優先したり、後回しにしたりできます。たとえば、重要なデータベース・サーバーについてはほぼ連続(15分おき)で、ファイル・サーバーについては1時間ごとまたは1日に1回、セカンダリ・サイトにコピーを作成するというようなレプリケーション・ソリューションを構成できます。仮想化はハードウェア層を抽象化し、より細やかなレプリケーション制御、結果の最適化、より効率的なITリソース利用を可能にします。

セカンド・サイトの必要性

ディサスタリカバリー(DR)は、今日のデータ・センターの可用性を高める重要なソリューションです。そして、DRは仮想化と最新のレプリケーション・テクノロジーを利用し、仮想マシンのレプリカをオフサイトに作成することで可用性を高めます。

しかし、エンド・ユーザーがDRサイトの計画を開始する場合、他の問題に直面します。まず、セカンダリ・サイトを構築、維持するコストが多くの組織にとって課題となります。セカンダリ・サイトでは、自己所有かレンタル(例:共用施設)かを問わず、本番環境の規模に応じて新しくハードウェアとソフトウェアを展開する必要があります。そして、セカンダリ・サイトも構成、管理しなければならず、ITインフラストラクチャに費やす労力が事実上2倍になります。しかも、本番ワークロードはほとんどプライマリ・サイトで実行されるため、セカンダリ・サイトはほとんど使用されません。このため、必要なコストはその価値と比較して高くなり、経営陣にROIをアピールしにくくなります。

これまでは、大規模な企業だけしか専用のセカンダリ・サイトを持つのに必要な予算を確保できませんでした。つまり、大企業は、各サイトの設備やリソースを活用するためのITスタッフがいるオフィスをすでに複数保有していたのです。ただし、今日では大規模な企業であっても、DRサイトを維持しながら、資金や経費を削減する方法を模索しています。

ディサスタリカバリー・サービス(DRaaS)

これは、クラウド・ベースのソリューションが完全に適合する状況の1つであり、DRaaS(Disaster Recovery as a Service)がますます普及している理由です。従量課金制のサービス・プロバイダからリソースを借りることにより、エンド・ユーザーは、日々のDRサイトを設計、展開、管理するコストと負担を負わずに同じ結果(フェールオーバー時に利用できるCPU、RAM、ストレージ、ネットワーキング・リソース)を得られます。DRに専門家を配置しているサービス・プロバイダは、インフラストラクチャの包括的な管理を行います。代わりにサービス・プロバイダは、提供するサービスの品質に関するSLA(Service Level Agreement)を提供します。仮想化のおかげで、サービス・プロバイダは、異なるワークロードに対して別のSLAを提供することも可能です。

これにより、エンド・ユーザーはレプリケーション処理に専念したり、アプリケーションに必要となる、異なるRPO値を計画したり、そしてITニーズではなくビジネスの基準を用いたDR戦略やDRソリューションを定義したりすることが可能となります。

DRaaSの需要が高いのは不思議ではありません。実際に、Google Trendsのグラフを見てわかるとおり、DRaaSの人気が拡大しています。
DRaaS popularity trends

「Disaster Recovery」という語句で検索した場合、DRのみの需要は縮小傾向にあることがわかります。

demand for Disaster Recovery

これは、顧客が一般的なソリューションを検索しているのではなく、サービス・プロバイダが提供するDRaaSを特に探している兆候を示しています。

おびただしいほどの数のソリューションが市場に提供されているのが印象的です。DRaaSソリューションを求める企業は、企業規模に関係なく、サービスに付随するオプションを注意深く評価する必要があります。一部のオプションについて検討してみましょう。

1.使いやすさ

使いやすさは、DRソリューションでは見過ごされやすい特性です。提供されるテクノロジーの強力な機能に焦点を合わせてしまいがちですが、テクノロジーが複雑すぎて、設定も使用も困難であれば、非常に危険な事態に陥ります。約束されているROIは達成困難になり、ビジネスに付加される価値は限定されます。一方、使いやすいソリューションはテストも採用もすばやく行うことができ、労力も抑えられます。最も重要なことは、エンド・ユーザーは、常にチューニングしたり、問題を解決したりしなくても、サービスを利用している間、「機能する」テクノロジーの恩恵を受けられることです。

その他に見過ごされやすい点として、DRシナリオの間、IT従事者は直面する問題、経験したダウンタイム、そしてすばやい運用再開を求める経営陣からのプレッシャーからストレスを受けることが少なくありません。使いやすいソリューションの場合、セカンダリ・サイトでアプリケーションを再起動するのに必要ないくつかの簡単な手順で済みますが、複雑なソリューションではストレスのかかる状況で問題がさらに複雑化します。

Veeamのクラウド・テクノロジーである、Veeam Cloud Connectを経由したVMレプリケーションは、ユーザーが選択したサービス・プロバイダへの安全で信頼性の高いSSL/TLS接続によって、保護された単一のTCPポート接続で使いやすく設定も簡単です。VPN接続のセットアップや保守は必要ありません。また、ユーザーのファイアウォールで複数のポートを開く必要もありません。レプリケーション管理トラフィック、実際のVMデータ転送、そして、部分フェールオーバー時のVM間通信といった、あらゆる種類のトラフィックに単一のトンネルが使用されます。すべての通信は、単一のトンネルにカプセル化されています。接続が確立されれば、追加でネットワークの設定をする必要はありません。

2.ネットワーク構成について

DRaaSは主にレプリケーション・サービスを提供するために設計されていますが、レプリケーションだけでは十分ではありません。実際に、DRサービスで最も難しいポイントの1つが、レプリケーションではなくネットワーク構成です。アプリケーションには固有のネットワーク設定があり、今日のサービスの多くは、従業員やサプライヤ、顧客が消費するため、インターネットに公開する必要があります。仮想マシンをレプリケートし、DRサイトでそのマシンを稼働させることは比較的簡単ですが、構成が変更された場合にネットワークが正しく設定され、自動的に再プログラムされることを保証するのは容易ではなく、これを保証することが当たり前とされることが少なくありません。DRaaSソリューションを探す場合、エンド・ユーザーはこの領域におけるDRaaSソリューションの機能が明確になるように具体的な質問をする必要があります。透過的な形でプライマリ・サイトとセカンダリ・サイトの間でシームレスにアプリケーションを移動できるかどうかには、フェールオーバー時におけるアプリケーションの再設定にかかる時間を除き、コストはかかりません。

3.セルフサービス

セルフサービスは、どのクラウド・サービスにとっても最重要で、DRaaSも例外ではありません。サービス・プロバイダはどれくらいの数のオペレーションを自動化できるでしょうか。これはサービス・プロバイダにとってのみ重要に思えますが、自動化されたサービスとは、エンド・ユーザーがサブスクリプションの変更をすばやくリクエストしたり、サブスクリプションをDRaaSサービスに合わせてすばやく簡単に調整したりできることを意味します。サービス・プロバイダが変更のリクエストを処理するのに何時間や何日もかかるのであれば、クラウド・サービスを利用する価値はありません。

セルフサービスも、サービス・プロバイダに何かを問い合わせたりしなくても、自身で実行できるオペレーションの数に関係するのは明らかです。最終的に、サービス・プロバイダは基盤となるインフラストラクチャを維持する責任を担いますが、企業のデータとワークロードに関するオペレーションはその企業が担う可能性があります。

これには、単純ですが大きな理由があります。エンド・ユーザーは、サービスをどう設定するか、または必要なときにどう再設定するかを正確に知っています。

ただし、セルフサービスにもフェールオーバー時にダウンタイムを短縮する大きな価値があります。エンド・ユーザーのサイトに何か大きなことが起きた場合、ユーザーは選択したサービス・プロバイダのセルフサービス機能を活用し、サービス・プロバイダのサポート・チケットを開く時間を費やさずに、フェールオーバーをすばやく開始できます。

まとめ

DRaaS(Disaster Recovery as a Service)は人気が拡大しており、多くのサービス・プロバイダが異なるテクノロジーを用いてこのタイプのサービスを提供しています。顧客は、提供されているすべてのソリューションを見るとどれを選択したらよいかわからなくなる可能性がありますが、同じソリューションばかりではなく、提供されるオプションに価値が存在しています。

Veeam Cloud Connect Replicationを使用するサービス・プロバイダはこの記事で取り上げた各利点を保証できます。エンド・ユーザーに必要なのはVeeam Availability Suite v9をインストールまたはアップグレードし、Veeamに対応するDRaaSプロバイダに加入してVeeam Cloud Connectの利用を開始するだけです。

 

VeeamのDRaaSソリューションの詳細については、下記のリンクを参照してください。

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