Veeam認定講師 (Veeam Certified Trainer) からのちょっとしたTips第一回: 仮想マシンをリストアした後に既存のバックアップを実行するとエラーで終了する 

Veeam Softwareの中川です。

パートナーやエンドユーザーを対象に、「Veeam Backup & Replication」のトレーニングを提供しています。そのトレーニング内で受講者からいただいたご質問と回答をTipsとしてご紹介します。

1回目は、「リストアした仮想マシンを対象に既存のバックアップを実行するとエラーで終了する」です。

VMware vSphere環境を前提に進めます。

◆既存Backup Jobがエラーで終わる

受講生から、「任意の仮想マシンを対象に実行したバックアップからのリストア後、既存バックアップを実行するとエラーで終了します。この回避策はありませんか」と質問を受けました。

図1はエラーで終了したバックアップジョブのログです。

リストアした仮想マシンは、Veeam Backup & Replication (以降はVBRと表記)内部では異なるオブジェクトとして扱われ、既存のバックアップジョブ実行時には、リストア前の仮想マシンが存在しないため、エラーで終了します。

質問者からは、図2の画面から、リスト内の仮想マシンを「Remove」した後、リストア後の仮想マシンを「Add」し、運用しているとうかがいました。このエラーを回避する方法はあるのでしょうか。

◆エラーを回避し、既存ジョブを実行するには?

バックアップ対象を特定の仮想マシンを選択せずに設定することで、エラーを回避することができます。

VBR内部で管理しているオブジェクトIDが変わらない対象を選択するのがポイントです。

図3は、vSphere Clientの「仮想マシンおよびテンプレート」ビューの画面です。ここではバックアップ用のフォルダ「Backups」を作成し、バックアップ対象の仮想マシン「Tiny-Veeam」を配置しました。

このフォルダを対象にバックアップジョブを作成します。フォルダの選択は一つの例です。

図4は、バックアップジョブの仮想マシンを選択する画面です。

オブジェクト選択画面の右上のアイコンから、vSphere Clientと同様のビューに切り替えることができます。図4では、「VMs and Templates」ビューを表示し、仮想マシン用のフォルダを選択しています。

この構成でバックアップジョブ作成を行えば、リストア後でも既存のバックアップジョブ実行は正常に終了します。

図5は、取得したバックアップの表示画面です。仮想マシンのリストア後、既存のバックアップジョブを実行すると、同じ仮想マシン名のバックアップが表示されます(赤枠内参照)。

上に表示されている仮想マシンが、リストア後にジョブを実行したバックアップです。どちらのバックアップからもリストア可能です。

リテンションポリシーによって古いバックアップは削除されますが、任意のタイミングで削除も可能です。

図5の画面では、リストア前とリストア後の2つのバックアップは同じ日時のため、バックアップジョブを実行した日時を確認後、バックアップを削除したい場合には、「Files」から実行するのが容易です。

この画面では、バックアップジョブを実行した日時で各バックアップファイルを確認することができます。

◆仮想マシンをグループ化するオブジェクトを選択する利点

フォルダなどの仮想マシンをグループ化するオブジェクトを選択すると、バックアップ対象を動的に変更することも可能です。たとえば、図7にあるように、「Backups」フォルダに新たな仮想マシン「VEEAM-DC01」を追加します。

図2では60MBのTotal sizeが、仮想マシン「VEEAM-DC01」を追加した後は19.0GBへ変更されています。仮想マシンを外した場合でも、バックアップ対象は動的に変更されます。

このBlogでは、フォルダを例に使用しましたが、他にESXiホストやデータストアを仮想マシンのバックアップ対象として選択することも可能です。それらの配下にある仮想マシンは動的にバックアップ対象となります。今回はバックアップジョブを対象に紹介しましたが、レプリケーションジョブでも選択可能です。

図9の左の画面は「クラスタおよびホスト」ビュー、右の画面は「ストレージ」ビューを表示しています。

ストレージのスナップショットOnlyジョブを作成する場合には、「ストレージ」ビューでデータストアを選択するのは効率的です。

※図9の「クラスタおよびホスト」ビューに表示されているリソースプール(この画面では「Production」等)は、スタンドアロンのESXiホストまたはDRSが有効であるクラスタで作成可能です。

オブジェクト選択画面の右上アイコンには、他にタグも選択可能です。タグはvSphere が提供する機能です。次回はバックアップ対象選択時にタグを利用する方法をご紹介します。

Exit mobile version