クラウドストレージとは?活用するメリットや選定時のポイントを紹介

「クラウドストレージって何?」「自社に導入すべきか判断がつかない」と感じる方も多いのではないでしょうか。

社内のデータを安全に保管・共有する手段として、クラウドストレージを活用する企業が増えています。

しかし、仕組みがわかりづらかったり、種類や選定ポイントが多すぎたりと、導入に踏み切れずにいる企業担当者の方も少なくありません。

クラウドストレージはメリットやデメリットを正しく理解し、自社に合ったかたちで導入すれば、複数人で共同編集することによる業務効率の向上・リモートワーク下でも不足なく働ける環境の実現・社内外でのデータ共有の効率化といった多くのメリットをもたらします。

この記事では、クラウドストレージとは何かを安全性や基本的な仕組み、種類、法人で活用する際のメリット・デメリット、導入時に見るべきポイントなどとあわせて詳しくご紹介します。

クラウドストレージの導入を検討している企業担当者の方は、ぜひ最後までご覧ください。

1.クラウドストレージとは

クラウドストレージとは、インターネットを通じてデータやファイルを保存・管理できるオンライン上の保管スペースのことを指します。

近年では、業務効率化が求められたり、リモートワークが普及したりするといった背景から、多くの企業で導入が進んでいます。ファイルのやり取りや共同編集を簡単にする手段として、クラウドストレージはビジネスにおける重要なインフラの一つになりつつあります。

1-1    クラウドストレージの仕組み

クラウドストレージは専用のデータセンターにファイルを保存する仕組みで、ネット環境さえあれば、Webブラウザやアプリを通じて、時間や場所を問わずアクセス・編集・共有が可能です。

保存先となるストレージは、クラウドサービスの事業者が保有・運用しており、ユーザーは契約に応じた容量のスペースを借りて利用するイメージです。

パソコン内のハードディスクやUSBメモリなどの媒体が含まれるローカルストレージにデータを保存する場合は、基本的に保存したデバイスや記憶媒体を用いなければファイルにアクセスできません。一方、クラウドストレージはインターネットを通じてほかのデバイスからでも利用可能な点が大きな違いです。

クラウドストレージと似た仕組みのものにはファイルサーバーがありますが、ファイルサーバーでは、社内ネットワーク内に構築されたサーバーにデータが保存されるため、社内からしかアクセスできないのが一般的でした。これに対しクラウドストレージは、外出先や自宅からでもファイルの確認・編集・共有が可能で、リモートワークや社外との共同作業に適しています。

1-2    クラウドストレージは安全?

クラウドストレージの安全性は、主にサービスを提供する事業者のセキュリティ体制に大きく依存します。例えば、iCloudであればApple、OneDriveであればMicrosoftが、それぞれ独自のセキュリティポリシーと技術で運用・保護を行っており、通信の暗号化や多要素認証など、一般的に高水準の対策が講じられています。

しかし、企業利用においては「どのサービスでも一定レベルの安全性がある」という認識だけでは不十分です。データの保存先(国内か海外か)、アクセス制御、操作ログの取得、管理者権限の柔軟性など、取り扱う情報の機密性や業種ごとのコンプライアンス要件によって、必要なセキュリティ機能は大きく異なります。

また、無料プランとビジネス用のプランではセキュリティの水準に大きな差がある点にも注意が必要です。無料プランではサポート体制やセキュリティ機能が限定されていることが多く、業務利用では十分なリスク管理ができません。

ビジネスで使用する場合は、法人向けに設計されたプランを選ぶことで、サービス提供者側も相応のセキュリティ対策を施すため、安心してデータを預けられるでしょう。

2.クラウドストレージの種類

上記では、クラウドストレージが何かを仕組みや安全性とあわせてご紹介しました。クラウドストレージは、ファイルストレージ・オブジェクトストレージ・ブロックストレージの3種類に大きく分けられます。

2-1    ファイルストレージ

ファイルストレージとは、データをファイル単位で管理し、階層構造(フォルダやサブフォルダ)の中に整理して保存するストレージ方式です。パソコンのフォルダと同じ構造であるため、直感的に操作しやすく、多くのユーザーにとって馴染みのある形式です。

ファイルストレージでは、「/2025年度/営業部/報告書.docx」といったように、ディレクトリ(フォルダ)をたどって目的のファイルにアクセスします。ファイルには、名前・拡張子・作成日時・サイズなどの属性情報(メタデータ)が自動的に付加されます。

ファイルストレージのメリットは、上記のような階層構造によってデータを分類・管理できる点です。業務フォルダ単位でアクセス権限を設定することも可能なため、部署やプロジェクト単位での管理にも対応しやすくなっています。また、使い慣れたOSと同じ形式で扱えるため、導入時の教育コストも抑えられます。

一方で、保存するファイル数が増えるほど検索・読み込み速度が低下しやすい点がデメリットとして挙げられます。そのため、大量のデータを高速に扱う用途には不向きです。

2-2    オブジェクトストレージ

オブジェクトストレージは、データをオブジェクト単位で管理するストレージ方式です。ファイルやフォルダのような階層構造ではなく、フラットな構造の「バケット」や「プール」と呼ばれる大容量の保管領域にオブジェクトを格納します。

データへのアクセスは、HTTPやHTTPSといった通信プロトコルを用いて、REST API経由でおこないます。アプリケーションやクラウドサービスと連携する仕組みと相性がよく、最新のWebアプリケーションや大規模システムでは主流の保存方式となっています。

オブジェクトストレージの最大の特長は、高いスケーラビリティとコストパフォーマンスの高さです。保存容量を柔軟に増やせることから物理的なサーバーを買い足す必要がないため、コストの削減につながります。

また、データを物理的に分散させて保管できるため、災害対策にも役立ちます。写真・動画・音声・センサーデータ・機械学習用データなどのデータを大量に保存したいケースに特に向いています。

一方で、更新処理には不向きというデメリットもあります。データの一部のみの変更ができず、更新のたびにオブジェクト全体を書き換えなければならないため、頻繁な修正が発生する業務には適していません。

2-3    ブロックストレージ

ブロックストレージは、データを固定サイズのブロック(区画)に分割して保存・管理するストレージ方式です。それぞれのブロックには一意の識別子が割り当てられ、複数のブロックにまたがってデータを保存することも可能です。こうした構造により、ファイル全体を再構築せずとも必要なブロックだけにアクセスできるため、高速な読み書き処理を実現しています。

ブロックストレージのメリットは、処理速度の速さと拡張性の高さです。トランザクションが多発するデータベースシステムやERP(基幹業務)アプリケーションなどでは、ミリ秒単位での書き込みや検索が求められるため、高速な処理が重要になります。また、必要な分だけブロックを追加すればすぐに容量を拡張できるため、柔軟な運用が可能です。

一方で、コストと管理面には注意が必要です。ブロック単位でのリソース割り当ては柔軟な反面、未使用の領域にも料金が発生するケースが多く、利用効率が悪いとコスト負担が増えるリスクがあります。

3.クラウドストレージを活用するメリット

上記では、クラウドストレージの種類をご紹介しました。それぞれ特徴は異なるものの、クラウドストレージでは時間や場所を問わずデータにアクセスできたり、パソコン本体の容量を気にせずストレージを利用できたりするといったメリットがあります。クラウドストレージを活用するメリットについて具体的には、次のとおりです。

3-1    社外の人にデータを共有しやすい

クラウドストレージの大きなメリットの一つとして、社外の関係者とのデータ共有が非常にスムーズになる点が挙げられます。これまでは、ファイルをUSBメモリで手渡ししたり、メールに添付して送ったりと、手間がかかるうえにセキュリティリスクが伴う方法が一般的でした。

しかしクラウドストレージを使えば、ファイルの保存先となるURL(共有リンク)を発行し、そのURLを相手に送るだけで、簡単にファイルの受け渡しが可能になります。

また、多くのクラウドストレージサービスでは、共有リンクに有効期限を設けたり、パスワードを設定したりといったセキュリティ機能も充実しています。これにより、必要な人だけに限定してファイルを公開でき、情報漏えいのリスクを抑えながら効率的にやり取りすることが可能です。

3-2    複数人で作業しやすい

クラウドストレージを活用することで、複数人が同時に同じファイルを開いて編集できるようになるため、従来のように、編集したファイルをメールやチャットで送り合ったり、誰が最新版を持っているのかを確認したりする必要がなくなり、リアルタイムでの共同作業が可能になります。

例えば、Web会議中に複数人で同じ資料を見ながら、その場でコメントを加えたり、修正を加えたりすることも可能なため、会議後の手戻り作業を大幅に減らせるでしょう。ファイルに対して誰がどこを編集したかも履歴として残るため、業務の透明性や進捗管理の面でも優れているといえます。

このようにクラウドストレージは、複数人で同時に作業を進める必要があるプロジェクト型の業務や部署横断的な資料作成などにおいて特に活用できます。

3-3    場所を問わずアクセスできる

クラウドストレージは、インターネット環境さえあれば、オフィスにいなくても、外出先や自宅からリアルタイムで必要なデータにアクセス可能です。従来のように、社内ファイルサーバーへ社内ネットワーク経由で接続したり、USBメモリでデータを持ち運んだりする手間が不要になります。

また、クラウドストレージはパソコンだけでなく、スマートフォンやタブレットからも利用可能なため、移動中の電車内や出張先のホテルなどでも業務を継続できます。

特に、営業担当者が出先で顧客と打ち合わせを行う場面では、社内にいるメンバーに依頼して資料をクラウドストレージへアップロードしてもらい、その場でファイルを確認・提示する、といったスピーディな連携も実現できるでしょう。

3-4    最新の機能を使用できる

クラウドストレージは、サービスを提供する事業者側で随時アップデートが行われており、ユーザー側が意識せずとも、常に最新の状態で利用できます。

これにより、社内のIT担当者がバージョンアップのために手動で更新作業を行う必要がなくなるため、保守・管理にかかる工数が大幅に削減されます。また、最新のUIや新機能が追加されるたびにすぐ活用できるため、業務効率の向上にもつながります。

さらに、最新バージョンではセキュリティ対策の強化も常に行われているため、サイバー攻撃や情報漏えいのリスクを抑えるうえでも有利です。オンプレミス型のストレージでは、セキュリティパッチの適用や機能拡張が後回しになるケースも少なくありませんが、クラウドストレージであればこうしたリスクを回避しやすくなります。

3-5    パソコンの容量を気にせず利用できる

クラウドストレージを活用すれば、パソコン本体のストレージ容量を気にせずにファイルを保存・管理できるようになります。クラウド上にデータを保管するため、パソコン本体や外付けのストレージに大量のデータを詰め込む必要がなくなり、ローカル環境の動作を軽快に保てるのが大きな利点です。

さらに、クラウドストレージの容量は必要に応じて簡単に拡張できるという柔軟性も魅力です。保存領域が足りなくなった場合も、クラウドサービスの管理画面やベンダーへの連絡一つで追加容量を申し込めます。

対照的に、オンプレミス型の社内サーバーでは、容量不足に対応するにはハードウェアの増設やメンテナンスが必要となり、システムの一時停止や予算確保といった課題が発生します。クラウドストレージであれば、こうした運用上の負担を避けながら、必要な分だけ柔軟にストレージリソースを確保できるでしょう。

4.クラウドストレージのデメリット

ここまで、クラウドストレージを利用するメリットをご紹介しましたが、クラウドストレージには、ランニングコストがかかる点や、障害発生時に自社で対処できない点などデメリットも挙げられます。クラウドストレージのデメリットについて具体的には、以下のとおりです。

4-1    インターネット環境が必要になる

クラウドストレージを利用するには、安定したインターネット環境が必須です。インターネット経由でクラウド上のデータにアクセスする仕組みのため、オフライン環境ではファイルを閲覧・編集できない点には注意が必要です。

また、クラウドストレージのレスポンス速度や快適さは通信環境の質に大きく左右されます。特に社内の回線速度が遅かったり、同時接続が多かったりすると、ファイルのアップロードやダウンロードに時間がかかり、業務の生産性が低下することもあります。

このような課題に備えるには、導入前に自社のネットワーク環境をチェックし、必要に応じて回線の増強や無線LANの最適化などの対策を講じておくことが重要です。また、出張時や在宅勤務時の利用も想定し、社員に対して「オフラインアクセス時の代替手段」や「利用できる通信環境の目安」を事前に周知しておくと、トラブルの未然防止につながります。

4-2    ランニングコストが負担になる可能性がある

クラウドストレージは、オンプレミス型のストレージを構築するよりも初期費用を抑えやすい一方で、継続的なランニングコストが発生する点には注意が必要です。多くのサービスは月額または年額のサブスクリプション形式で提供されており、買い切り型のオンプレミスと比べて、長期的な運用コストが見えにくくなる傾向があります。

また、料金は主にユーザー数・保存容量・機能の有無によって決まるため、利用規模の拡大やデータ量の増加に伴って、契約プランの見直しやアップグレードが必要になることもあります。例えば、チームメンバーの増加やリモートワークの導入で利用者が急増した場合、当初の想定を超えてコストが膨らんでしまうケースもあるでしょう。

そのため、導入前には、自社のファイル運用方法や将来的な利用拡大を見据えたプラン選定が不可欠です。ストレージの利用頻度や容量上限、チームでの共有の有無などを整理し、コスト対効果の高いプランを選ぶことが、無駄な出費を防ぐポイントです。

4-3    障害発生時は復旧まで利用できなくなる

クラウドストレージは、サービス事業者が運用・保守を一括して管理しているため、ユーザー側がサーバーのメンテナンスやトラブル対応を行う必要がないというメリットがあります。しかし、万が一サービス側で障害が発生した場合には、自社では一切対応できず、復旧を待つしかない点に不便さを感じることもあります。

このような障害は、突発的なシステム不具合だけでなく、通信トラブルやクラウド側のデータセンター障害など、外部要因によって引き起こされるケースも多く、一度発生すると業務全体に影響が及ぶ可能性があります。特にファイル共有や共同編集がクラウドストレージ上で日常的に行われている企業にとっては、一時的な停止でも業務がストップしてしまうリスクを伴います。

5.クラウドストレージの主な活用場面

ここまで、クラウドストレージのメリットやデメリットをご紹介しました。メリットでも挙げたように、クラウドストレージは複数人での作業や場所を問わないデータへのアクセスが可能なため、チームでの共同作業やリモートワークなどに活用できます。

5-1    チームでの共同作業

クラウドストレージは、チームでのファイル共有や同時編集を効率化するツールとして非常に優れています。ドキュメント、表計算シート、プレゼン資料などをクラウド上に保存し、チーム全員でリアルタイムに確認・編集できるため、「誰が最新版を持っているかわからない」「編集内容の統合作業に手間がかかる」といったトラブルを防げます。

また、多くのクラウドストレージサービスでは共有フォルダの作成機能が備わっており、部署やプロジェクトごとに必要なファイルを一元管理することが可能です。遠隔地にいるメンバーともスムーズにファイルをやり取りでき、拠点をまたいだプロジェクトでも作業の分断が起こりにくくなります。

5-2    リモートワーク

制作物や業務資料などをクラウドストレージ上に保存しておけば、自宅や出張先など、オフィス外からでもノートパソコンやタブレットなどのデバイスを使って、すぐに作業を再開できます。

インターネット環境さえあれば、どのデバイスからでもアカウントにログインするだけで、同じファイルやフォルダにアクセス可能なため、場所を問わない柔軟な働き方が実現します。特に、在宅勤務や出張の多い職種では、クラウドストレージを活用することで、ファイルの持ち運びや送受信の手間が省け、業務スピードも向上するでしょう。

5-3    社内データの災害対策

地震や水害など、自然災害はいつどこで発生するかわかりません。万が一、社内のパソコンやサーバーが被災した場合、業務に必要なデータがすべて失われてしまうリスクがあります。こうした事態に備えて、重要なファイルや業務データをクラウドストレージに保管・バックアップしておくことが、災害対策として非常に有効です。

クラウドストレージは、サービス提供元の事業者による堅牢なデータセンターで運用されており、地理的にも分散保存されているケースが多いため、災害による物理的被害からデータを守れます。また、オフィスが被災しても、インターネット接続さえ確保できれば、自宅や代替拠点からデータにアクセスできるため、業務の早期再開も可能です。

さらに、定期的な自動バックアップ機能やバージョン管理などを活用することで、誤操作やサイバー攻撃によるデータ損失にも備えられます。

6.企業でクラウドストレージを選ぶ際に見るべきポイント

ここまで、クラウドストレージの活用シーンをご紹介しましたが、実際に企業でクラウドストレージを導入し十分に活用するためには、操作のしやすさやデータを安全に預けられるかといった点を確認しながらサービスを検討する必要があります。ここでは、企業でクラウドストレージを選ぶ際に見るべきポイントをご紹介します。

6-1    直感的に操作できるか

クラウドストレージを業務で活用する場合、誰でも迷わず使える操作性の高さが重要です。特にITリテラシーにばらつきのある現場では、使いにくいツールを導入してしまうと、かえって業務効率が落ちたり、誤操作による情報漏えいリスクが高まったりする可能性もあります。導入の際には、実際の画面や操作感を確認し、「誰もが直感的に使えるかどうか」を重視する必要があります。

また、ファイルのアップロードやダウンロードのスピードも業務効率に直結します。クラウドストレージによっては、有料プランであってもアップロードに時間がかかる製品もあるため、あらかじめ無料トライアルやレビューなどを通じてパフォーマンスを確認しておくと安心です。

導入時には、実際に操作する現場の担当者が使いやすいかどうかをテストし、「社内のメンバーに細かく説明しなくても使える」というレベルかを確認することが、安全で効果的な活用への第一歩となります。

6-2    十分な容量を使用できるか

クラウドストレージを選ぶ際には、自社の業務に必要な保存容量を無理なくカバーできるかどうかを、最初に確認すべきです。ベンダーやプランによって提供される容量は大きく異なり、必要以上の容量を契約してコストが割高になるケースや、逆に容量が足りずに頻繁に整理・削除を強いられるケースもあります。

まずは、あらかじめ1アカウントあたりの想定使用量やチーム全体の保管データ量を確認しておきましょう。例えば、見積書や契約書、PDFなどのドキュメント中心のデータであれば数GBの容量でも十分ですが、動画・CADデータなど、高解像度・大容量のファイルを扱う業務ではTB(テラバイト)単位の容量が必要になる場合もあります。

最近では、基本容量+従量課金の仕組みを提供するサービスも増えています。ファイルが増える繁忙期には容量追加分の料金が発生し、閑散期には増えた分のファイルを整理することでコストを抑えられるでしょう。このように、業務の繁閑に応じた柔軟なプラン運用も視野に入れるとよいでしょう。

6-3    保存するデータを暗号化できるか

クラウドストレージを選定する際には、保存するデータが暗号化されるかどうかを必ず確認しましょう。暗号化とは、万が一第三者にデータが盗み見られても内容を解読されないようにするためのセキュリティ対策です。クラウド上のファイルが適切に暗号化されていれば、不正アクセスや情報漏えいのリスクを大幅に低減できます。

暗号化には大きく分けて、ストレージ内の保存データを暗号化する方式と、アップロード・ダウンロード時の通信経路を暗号化する方式の2種類があります。前者はデータを保存する段階で守るもので、後者は送受信中に盗み見られないよう保護するものです。どちらも対応しているサービスを選ぶことで、データの完全性と安全性を高水準で確保できるでしょう。

6-4    セキュリティに関する設定を柔軟に行えるか

クラウドストレージの導入においては、データの暗号化だけでなく、ユーザー自身が設定できるセキュリティ機能の柔軟性も非常に重要です。クラウドストレージのセキュリティは多くが事業者に依存しますが、サービスによっては利用者が細かく設定をカスタマイズできる仕組みも用意されています。

代表的な機能としてまず挙げられるのが、2段階認証です。これは、通常のIDとパスワードによる認証に加え、スマートフォンなどで確認コードを入力するなどもう一段階の認証を必要とする方式です。万が一、IDやパスワードが漏えいしても、不正アクセスを防げるため、セキュリティ強化に直結します。

また、ユーザーが設定するパスワードに対して文字数や使用する文字種(英字・数字・記号など)を制限し、強固なパスワードの使用を義務づけるパスワードポリシーの設定も有効です。推測されにくいパスワードを設定させることで、辞書攻撃や総当たり攻撃といったリスクを軽減できます。

7.クラウドストレージなら「Veeam Data Cloud Vault」がおすすめ

この記事では、クラウドストレージとは何かを安全性や基本的な仕組み、種類、法人で活用する際のメリット・デメリット、導入時に見るべきポイントなどとあわせて詳しくご紹介しました。

クラウドストレージを法人で活用する際には、容量の柔軟な拡張性やチームでの共同編集のしやすさといった利便性や、データの暗号化といったセキュリティ面も重視され、適切なサービスの選定が業務効率やリスクマネジメントに大きく関わってきます。

Veeamでは、オブジェクト型のクラウドストレージとして「Veeam Data Cloud Vault」を提供しています。Veeam Data Cloud Vaultは、信頼性の高いMicrosoft Azureベースのクラウドインフラ上に構築された安全なバックアップストレージで、簡単かつ確実にデータ保護環境を整えられます。

Veeam Data Cloud Vaultでは、社内でクラウドストレージを利用する際の設定や管理、統合といった作業を一切必要としないため、メンテナンスの手間を省けるフルマネージド型のサービスである点が特長です。

また、TBあたりの定額料金という料金プランのため、必要な分だけ容量を追加できるだけでなく、「これだけ容量を追加したらどれだけの費用が発生するか」といったコストの試算もしやすいでしょう。

Veeam Data Cloud Vaultについて詳しくは、以下のページをご確認ください。

Veeam Data Cloud Vaultの詳細を見る

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