トレンドマイクロ株式会社(以下、トレンドマイクロ)は創業以来、「デジタルインフォメーシン を安全に交換できる社会」の実現を目指してサービスを法人、個人向けに世界規模で 展開しています。また、同社は仮想化のテクノロジーに精通している企業であり、特に VMware社とは製品開発の面で緊密に連携し、仮想化環境に適したセキュリティ製品、 サービスを他社に先駆けて世に送りだしています。
同社のインフラの仮想化は、グローバルで進められ2009年6月以降に本格的に始まり、 今では、システム全体の90%近くに達しております。仮想環境のバックアップ基盤の整備 については、2015年末より「Veeam Backup & Replication Enterprise Plus(以下、ヴィー ム)」により進められ、今年2016年3月に実稼動を開始しております。ヴィーム導入以前は 仮想環境のデータ保護は、VMwareの機能でスナップショット取得するまでで、データベー スや一部のファイルサーバについてのみ物理用のバックアップ・ソフトウェアを用いて データのバックアップを行っておりました。社内規定に則ったバックアップを実践し、クリ ティカルなシステムについては冗長化していましたが、仮想マシンに障害が発生する度 に、OSの再インストールなどの作業を必要とした為、復旧までに1~2日の時間を要する こともあり、事業の継続性に大きなリスクを抱えておりました。
現在VMwareの仮想環境上で500~600の仮想マシンを稼働させており、このデータ・ バックアップは日次/週次で実施されております。従来のバックアップの仕組みでは、バッ クアップウィンドウ内にバックアップが終了しない、もしくは、取得したはずのバックアップ・ データが実際には取得されていないなどの問題が発生し、有事の際に迅速にシステム を復旧することが困難な場合がありました。
ヴィームの導入により、バックアップ・データの完全性が保たれ、最も直前にバックアップ を取得した状態に短時間で戻すことが可能になりました。また、個別ユーザのファイル 単位、アプリケーションのアイテム単位でのリストアが可能になり、社内ユーザの満足度 も向上しています。
同社がヴィームを採用した理由は、先行して導入している北米のIT部門からの推奨が あったとともに、日本の本社側でも独自に選定、検証を行った結果、以下の4点がポイン トになっています。
ヴィームを採用したことで得たビジネスメリットをトレンドマイクロのインフォメーション サービス本部の今泉芳延氏は次のように述べています。「あるときストレージのコントロー ラが壊れてしまい、仮想マシン上のWebサーバが起動できない状況まで陥ったことがあ りました。そこで、すぐに別の筐体のストレージに対してデータのリストアを行ったのです が、その際にはヴィームのインスタントVMリカバリ™機能というものを利用しました。この 機能は、データをリストアしながら、ユーザにはバックアップ・リポジトリへ直接マウントさ せてバックアップ・データの利用を可能にするものです。これによりサービス継続しなが ら、データの復旧を行うことができ、事実上ダウンタイムゼロとなりました。また、ユーザ が誤って自身のファイルやデータを削除してしまったり、Active Directoryのオブジェクト を誤って変更してしまったりして、それらを復旧してほしいと言う要望が月に数回発生して います。今ではこうした問い合わせにもヴィーム製品で円滑に対応することができ感謝し ています。また、コスト面においては以前と比較しヴィームを導入したことで、突発的な障 害に対して最小限に抑えることが可能になったため、正確な数字はありませんが、バッ クアップ運用における人件費がおおよそ4割程度削減できているという印象です。」
最大のメリットとして、今泉氏は次のように述べています。「以前はトラブルが発生すると 大半のスタッフが深夜で対応する必要が発生し、翌日のスタッフの勤務体制に影響が 出ることがありました。そうした状況が定常的に2週間に1度の頻度で発生しておりまし たが、現在では復旧が迅速に行えるので、そうした対応はほとんどなくなっています。大 幅に運用工数を減らせたことが最大の導入メリットと考えています。」
トレンドマイクロは、将来に向けてさらにバックアップ環境の整備を進めてい ます。VMware上の仮想環境におけるバックアップは全てヴィーム製品で統一し、法令 上、長期保存が必要なデータに関しては、テープ・ライブラリで二次バックアップを実施 していきます。
最後にトレンドマイクロからヴィームに対し以下の要望があり、これに対してヴィームは 積極的に関与、提案することで、将来に渡ってトレンドマイクロのデータ・バックアップ施 策に貢献していきます。