日本最大の湖である琵琶湖に面し、古くから栄えた歴史を有する滋賀県大津市。この地において、地域医療を支える中核医療機関の役割を担っているのが日本赤十字社 大津赤十字病院である。同病院の歴史は、実に明治37年(1904年)にまで遡ることができる。以来100年以上にわたって、地域住民の健康な暮らしに貢献し続けてきた。現在も高度救命救急センターにはじまる急性期医療や高度先進医療の提供、次世代を担う医療人財の育成など、幅広い領域で事業を展開中だ。
現代の医療はITと切り離せなくなっているだけに、同病院では院内情報基盤の整備・拡充も意欲的に推進している。日本赤十字社 大津赤十字病院 事務部 医療情報課長 橋本 智広氏は「我々が所属する医療情報課では、各種業務システムの導入・運用やドクターの診療支援に加えて、病院に蓄積された医療ビッグデータの分析や活用なども進めています。また、患者様の大事なデータを取り扱うことから、セキュリティやデータ保全についても細心の注意を払っています」と語る。
同病院を訪れる外来患者の数は、一日あたり約1400名にも上る。万一、システム/データに障害が発生した場合には、地域医療に大きな影響が生じかねない。それだけに情報基盤の安全性・安定性確保は、最優先事項の一つなのだという。
その同病院において、今回実施されたのが、バックアップシステムの再構築である。医療情報システムの分野においては、それぞれのシステムを担当するベンダーが個別に環境を構築するケースが多い。同病院でも数多くの物理サーバーが稼働しており、そのバックアップについても別々のツールや手順で行われていた。
「実際にデータ消失などの事態に直面したことはありません。しかし、基本的に各ベンダー任せのバックアップだったため、いざという時に本当に復旧できるのか確信が持てませんでした。そうした中、院内の部門システム群を仮想統合することが決定。これを機にバックアップの一元化を図ると同時に、我々自身の手で管理できるような形に改めたいと考えたのです」と橋本氏は振り返る。
新たなバックアップ製品の選定にあたっては、「システム/データのバックアップが確実に行えること」「現在の状況が一元的に把握できること」「短時間でバックアップ処理が行えること」「ユーザー自身の手で簡単にリストアが行えること」などの要件が掲げられた。
これらを満たすものとして採用されたのが「Veeam Backup & Replication(以下Veeam)」である。仮想化基盤上の様々なシステム群をシンプルにバックアップできる上に、災害対策用にレプリケーションを行う際にも追加ライセンスは不要。さらには、直感的な操作性を有する日本語対応ポータル「Veeam Backup Enterprise Manager」が提供されている点も大きな決め手となった。
1904年に日本赤十字社滋賀支部病院として発足した
日本赤十字社 大津赤十字病院。37診療科・684病床
の総合的医療機能を備える同病院では、「高度救命救
急センター」にはじまる急性期医療の提供、並びに
非常災害救護の拠点となる「基幹災害拠点病院」の役
割を担っているほか、「地域医療支援病院」 「がん診
療連携拠点病院」「総合周産期母子医療センター」
「一次脳卒中センター」の承認・指定を受けている。
日本赤十字社 大津赤十字病院では、これまで各種の
部門システムを個別の物理サーバーで構築。そのバッ
クアップについても、それぞれ異なるツールや手順で
実施していた。今回、同病院では、この部門システム
群の仮想統合を実施するにあたり、バックアップの抜
本的な見直しに着手。複数システムのバックアップを
確実に実施すると同時に、担当者自身の手で簡単に
リストアできる環境を目指した。