130年以上の長きにわたる実学教育の伝統を今に受け継ぐ中央大学。「實地應用ノ素ヲ養フ」という建学の精神は、「行動する知性。-Knowledge in Action-」を育むというユニバーシティ・メッセージにもしっかりと息づいている。
その同大学の教育・研究活動をIT面から下支えしているのが、情報環境整備センターだ。中央大学 情報環境整備センター 事務部 副部長 仲田 千鶴氏は「当部門では、学内ITインフラの整備・拡充を進めています。近年では、ITを活用した教育の提供が重要かつ効果的であり、常に安定して学生に教育機会を提供できるようIT環境を維持することは、最も高い優先事項です」と説明する。
その中、インフラ更新に伴う理工学部/理工学研究科向け教育・研究用システムの刷新プロジェクトが発足。同学部では先端分野の研究・教育が行われており、それを支えるITインフラの重要性は他にも増して重い。「eラーニング/LMS(学習管理システム)などの重要な教育システムも稼働しており、万が一ダウンタイムが生じた場合には、約5,000名の学生の学習機会の喪失や、教育スケジュールの調整など、多大な影響があります」と仲田氏は語る。
そこで同センターでは、本基盤の刷新に伴い、信頼性・安定性のさらなる向上や障害復旧の迅速化を図るための取組みも推進。ここでクリアする課題となっていたのが、バックアップを含むデータマネジメント環境の見直しである。中央大学 情報環境整備センター 事務部 都心ITセンター事務課 課長 宮本 伸之氏は「教育でのIT整備がどんどん進むにつれ、データの容量も年々増大していました。これに伴い、ストレージ容量は逼迫し、バックアップ時間も長時間化。教育・研究用システムは、授業で利用するソフトウェアの追加やバージョンアップに関する要望も頻繁にあるため、安定かつタイムリーな授業環境の提供を行う観点で、様々な問題が生じていました」と振り返る。
また、旧基盤は環境の特性に合わせて3種類のバックアップツールを使った複雑な運用が行われていた。さらに今回は、運用負荷軽減を目的に、教員用メールサーバのMicrosoft Office 365への移行も決定していたため、クラウドにも対応して包括的にデータマネジメントができるソリューションが求められていた。
これらのニーズを満たす製品を吟味した結果、「Veeam Backup & Replication (VBR)」が新しく採用された。仲田氏は「様々なツールの提案を受けましたが、VMware環境との親和性が高いこと、Office 365のバックアップも含めて単一プラットフォームで運用をシンプルに行えることなどが、Veeam社採用の決め手となりました」と語る。
加えて、旧環境からの移行にも活用できる点は評価された。旧環境では複数バージョンのvSphereが稼働しており、Storage vMotionによる単純な移行が行えなかった。「VBRを使えば、環境の差異をVeeamが吸収してくれるので、スムーズに移行が行えます。約40台のVMが稼働しており、移行にもかなり期間が掛かると覚悟していましたが、本当に短期間で移行を終えられました」と宮本氏は語る。
今後は、他の業務システムやキャンパスなどへのVeeamの適用も視野に入っている。「たとえば、まだオンプレミスで運用しているメールサーバがありますが、そこも順次Office 365へ移行していく計画です。最終的には、約3000ユーザー分のデータ管理が必要になりますが、その際もマルチクラウドでデータマネジメントができるVeeam製品を活用していけると思っています」と仲田氏。中央大学の教育を支えていく役割を、Veeamがしっかりと担っていくのである。
法学部、経済学部、商学部、理工学部、文学部、総合政策学部、国際経営学部、国際情報学部の8学部、及び大学院6 研究科、 専門職大学院2 研究科を擁する総合大学。 1885 年( 明治18 年) に英吉利法律学校として創設されて以来、次世代を担う人材の育成に取り組んできた。2015 年には、10年後を見据えた中長期事業計画 「Chuo Vision 2025」を策定。「教育組織の改編・創設」「キャンパス整備」「グローバル戦略」「スポーツ振興事業」の4 つの 基本方針の下、様々な施策を展開している。
中央大学・後楽園キャンパスの教育・研究用システムでは、バックアップに3種類の異なるツールが使用され、煩雑な運用を強いられていた。さらに、年々加速するデータ容量増大への対応も課題に。また、インフラ更新に伴い教員用メールサーバを Office 365 へ移行したため、オンプレミ ス、クラウドの別を問わず効率的かつ一元的にデータマネジメントが行える環境が求められた。