FRONTEO は、2003 年の創立以来リーガルテック AI 事業のリーディングカンパニーと して市場をけん引している。同事業は、国際訴訟における e ディスカバリ(電子情報開示) 支援とフォレンジック調査(デジタル鑑識)ビジネスの二本柱で構成。e ディスカバリに おいて、証拠の収集や特定、提出にいたるプロセスから予兆監査までワンストップサービ スを行う。フォレンジック調査では、情報漏えい、談合・カルテル、横領、労務問題、ハ ラスメント問題、セキュリティ事案等、さまざまな不正調査に対応し、多くの企業の第三 者調査委員会の調査支援を行っており、日本と海外拠点を結んだシームレスなサービスを 提供する。
e ディスカバリ向けのシステムでは、訴訟に関連する文書やメールなどさまざまなファイ ルが保存、保護の対象となる。同社クライアントテクノロジー部シニア テクニカル エキ スパート 松山 渉氏は、e ディスカバリの本番システムにおける、コロケーション、デー タセンターの管理、ネットワーク、サーバー、ストレージ、仮想化基盤、OS レイヤー等 システム関連全般を管理している。データの種類は、顧客のビジネスに応じて作成される ドキュメントと、やりとりされるメール等の非構造化データ全てであり、それらを大量に 保存し、訴訟支援に向けて検索しやすいように整えて提供する。サーバーは、日本におい て約 60 台。すべて仮想化されており、そこで稼働する VM 数は 1,500 〜 1,600 に上る。 扱うデータは、約 1 ペタバイトと大規模になるという。
Veeam 導入以前は、同社はバックアップに専用のバックアップソフトウェアを使ってい なかった。仮想化基盤のクローン機能や、ストレージ製品の機能を使って対応していた。 しかし、環境ごとに設定が必要で、ストレージ専門のエンジニアがほぼ張り付いてバック アップ業務にあたるような状況が続いていたという。さらに、バックアップ自体に時間が かかり、一元的に管理できなかったため、個々の環境のチェックやポリシーを一律に適用 することに多大な労力を要した。細かく複雑なバックアップ業務となった結果、バックアッ プの業務自体が特定のエンジニアに属人化してしまうという IT 運用上のリスクも発生し ていた。
同社が抱えていた課題解決のため、バックアップソフトウェアの導入を決定。検討にあたっ ては、複数のバックアップソフトウェアベンダーとの比較を行ったが、その際、仮想化基 盤にしっかり対応していること、導入そのものが容易であること、グローバルでの実績が あること、バックアップデータより直接メモリにリカバリするインスタント VM リカバリ への対応や、大容量のバックアップデータを物理的にオフラインで運びレプリカするレプ リカシーディングの機能について、特に重視していた。
実際に製品の PoC も実施した上で、最終的に同社は Veeam Backup & Replication Enterprise <i>Plus</i> の採用を決定。「当社が要件に掲げた機能を Veeam はすべて満たすことは元より、個別の機能別の追加ライセンスが必要ないことも魅力でした。また、実際に PoC を行って、製品操作が簡単だったこと、すぐに利用できたことなどから拡張性まで を視野に入れて Veeam が提供するバックアップに対するソフトウェア設計に確信を持ち ました。さらに、個別の質問や情報提供依頼に対して、Veeam の営業や技術の方の対応 が他社と比べて迅速で、Veeam という会社の総合力も評価しました」と松山氏は話す。 2017 年 4 月に台湾拠点から導入をはじめ、日本拠点は 2018 年 7 月から導入を開始。 1 ペタバイトデータの保護という大規模バックアップ基盤だったが、Veeam 導入は迅速 に進んだ。
バックアップ処理時間を大幅に削減
まず、バックアップ処理時間の大幅な短縮を実現した。例えば、従前まで 3TB の差分 を送るのに 2 〜 3 日かかってしまうこともあったが、Veeam により数時間で完了する ようになった。
Veeam Backup and Replication Enterprise <i>Plus</i> のストレージ・インテグレーショ ン機能の貢献も大きい。この機能によって、既存の NetApp などのストレージ製品と連 携し、ストレージスナップショットからより迅速なバックアップ取得とスナップショッ ト影響の極小化が可能になる。さらに、仮想化環境におけるバックアップのベストプ ラクティスを達成するだけでなく、規模やパフォーマンスに応えるスケーラビリティが Veeam によりビルトインされる。「こうした点も考慮すると、測定コストの算出が不可 能なくらいの効果がでています」 と松山氏は語る。
バックアップ運用の一元化。余剰リソースを攻めの IT に
Veeam から一元的にバックアップポリシーや SLA を展開できるようになりバックアッ プ運用面のレベルアップにも繋がった。またそれにより属人的なバックアップ運用から も解放された。従前では、ストレージ専用のエンジニアがバックアップのためにストレー ジに張り 貼りついている必要があったが、IT 戦略の立案やバックアップポリシーの改善、 データ自体の活用といった、より攻めの IT 領域にその人材を活かせるようになった。
拡張性のあるアベイラビリティプラットフォームの実現
リーガルテック AI 企業のリーダーとして同社が事業拡大を続ける中で、IT 基盤自体も さらに大きくなっていく。「マルチクラウドも見据えた拡張性や業界最新の技術を取り入 れた Veeam 社の製品を導入することは、当社の今後の事業展開の方向性と合致してい ます」と松山氏は述べる。「現在、日本と台湾の基盤への導入を完了しましたが、今後 は韓国拠点など、グローバルレベルでの展開も図っていきます。Veeam 製品をさらに 展開することで、アベイラビリティプラットフォームとなる基盤構築を実現していきま す」と松山氏は意気込みを見せた。
FRONTEO は、自然言語処理に特化した データ解析企業。独自に開発した人工知 能(AI)エンジン「KIBIT」と「Concept Encoder」を用いて、情報解析を支援して います。「記録に埋もれたリスクとチャンス を見つけ出す」を掲げ、2003 年に創業し て以来、国際訴訟で必要な、証拠となる電 子データの保全と調査・分析を行う「e ディ スカバリ(電子証拠開示)」や、「デジタル フォレンジック調査」というリーガルテック 事業をメインに展開してきました。また、リー ガルテック事業で培った AI 技術をもとに、 2014 年より金融、知財、人事、医療分野 へと事業のフィールドを拡大し、膨大な量 のテキストデータの中から意味のある重要 なデータを検出することで、業務負担を軽 減し、業務の効率化を実現しています。
専用バックアップソフトウェアを使わず、 ストレージ製品の機能で対応していたため、 環境ごとにバックアップの設定が必要で、 ストレージ専門のエンジニアが張り付かな ければいけなかった。そのため、SLA の担 保や、ポリシー設定による運用も困難であっ た。バックアップ自体も時間がかかってい るという課題もあった。