現代のビジネスにおいて、クラウドやハイブリッドクラウドの活用は常識となり、ITインフラはますます複雑化しています。その中で、自然災害やサイバー攻撃、内部不正など、データ損失につながるリスクは急増しています。本稿では、JBS Vaultセミナーで紹介された、Veeam Data Cloud Vaultを中心とした最新のデータ保護戦略について、その要点を解説します。
1. 急増するデータ損失リスクとその現実
火災や地震、停電といった物理的な災害はもちろんのこと、ランサムウェアによるサイバー攻撃、内部不正、オペレーションミス、サプライチェーン攻撃など、多様な脅威が現実のものとなっています。最近では、クラウドサービスの障害や、法規制への対応漏れによる罰金といった事例も増加しています。クラウドにデータを預けているからといって100%安全ではないことが、数々の実例から明らかになっているのです。
2. クラウド時代のデータ保護：問われるユーザー責任とBCP
クラウドサービスを利用する場合でも、責任共有モデルに基づき、「データの保護」は利用者自身が担う必要があります。特にBCP（事業継続計画）やディザスタリカバリの観点では、「バックアップの多重化」と「迅速なリカバリ」が強く求められます。セミナーでは、実際に起こったデータ損失の事例をもとに、バックアップの重要性と、Veeamが提供する統合バックアップ管理の強みが解説されました。
3. バックアップの新常識「3-2-1-1-0ルール」とVeeam Data Cloud Vault
従来の「3-2-1ルール」（3つのコピー、2つの異なる媒体、1つを遠隔地へ保管）に加え、Veeamでは「**イミュータブル（不変／書き換え不可）**なバックアップ」と「復元可能性の自動検証（エラーゼロ）」を追加した「3-2-1-1-0ルール」を提唱しています。これにより、ランサムウェアや内部不正によっても消去・改ざんされることのない、安全なデータ保護を実現します。
Veeam Data Cloud Vaultは、Microsoft Azure上で提供されるフルマネージドのクラウドストレージサービスです。主な特徴は以下の通りです。
- デフォルトでイミュータブル（不変性）を確保
- 暗号化とエアギャップによる高いセキュリティ
- 予測しやすいシンプルな定額制で予算管理が容易
- 日本リージョンも選択可能
- 高速なリストアと高いスケーラビリティ
- ゼロトラストモデルに則ったバックアップデータの分離設計
4. 多様なユースケースと導入のメリット
Veeam Data Cloud Vaultは、オンプレミス・クラウドを問わず、2次バックアップやクラウドへの直接バックアップ先ストレージとして活用できます。特に、医療、金融、製造といった、厳格なデータ保持や復旧要件が求められる業界で高い評価を得ています。AI時代の到来により急増するデータ量にも柔軟に対応し、投資対効果も高く、マルチクラウド環境においてもベンダーロックインの心配がありません。
5. まとめ：今こそ“復旧力”を見直すとき
「バックアップを取得しているのは当然。重要なのは“確実かつ迅速に復旧できる”ことです。」これが、現在のデータ保護における新常識と言えるでしょう。Veeam Data Cloud Vaultを活用すれば、最新のセキュリティ要件や法規制、ビジネス継続性の要求に応える、堅牢なデータ回復力を実現できます。この機会に、自社の“復旧力”とバックアップ体制をあらためて見直し、万全なBCPを構築してみてはいかがでしょうか。
