2023年3月8日に実施された、Veeam Backup & Replication V12のお披露目発表イベントでは、ランサムウェア対策について、そして新しくなったVeeam Backup & Replicationについての新しい情報が発表されました。
Veeam Backup & Replication V12 お披露目発表イベントレポート(前編)に続く後編では、2名のシステムエンジニアが紹介したV12の新機能について、発表内容の中からほんの一部を紹介します。
Veeam Backup & Replication V12新機能概要
ヴィーム・ソフトウェア株式会社
シニア・システムズ・エンジニア
斉藤 乾
新機能Veeam Recovery Orchestrator V6
今回新しく追加された「Veeam Recovery Orchestrator V6」は、Veeam Data Platform内に組み込まれた、非常に信頼性の高い復旧オーケストレーターです。このソリューションには、大きく3つの機能が追加されています。
- Cloud DR:災害復旧の対策先をMicrosoft Azureにオーケストレーションする
- Clean DR:ランサムウェアに感染していないファイルを探して復旧する
- Agent DR:物理環境のデータを仮想基盤やクラウド上に復旧する
Veeam Backup & Replication V12の追加・強化機能
今回のV12では、主なもので100以上、マイナーなものを含めると500以上の機能追加・修正がありました。以下のスライドに、その一部を記載しています。
この中から、特に大きな改良ポイント紹介していきます。
- クラウドへの直接バックアップを実現
- AWSやMicrosoft Azureへの直接接続を実現
- イミュータブル機能の拡張によりランサムウェア対策に対応
- バックアップデータの移動・複製機能の向上
クラウドへの直接バックアップを実現
今回のアップデートでは、非常に大きな機能改善がありました。それは、クラウドへの直接バックアップが可能になったことです。
旧バージョンのV11では、オブジェクトストレージを使う際に、一次格納先としてブロックストレージもしくはNASストレージを使用していました。しかしV12ではクラウドに直送する仕組みに変わっており、一次受けを介さず直接バックアップできるようになっています。
AWSやMicrosoft Azureへの直接接続を実現
もう一つの大きな改良点として、AWSやMicrosoft Azureなどのクラウドサービスにダイレクトに接続できるようになったことが挙げられます。
これまでは、パブリッククラウドのバックアップにはVeeam Agentか、Veeam Backup for AWSまたはVeeam Backup for Microsoft Azureを使用する必要があり、Veeam Agentの場合はVPNやDirect Connectが必要でした。
しかし、V12ではAWSやMicrosoft AzureのAPIとダイレクトに連携し、インターネット経由でVeeam Agentを使用できるようになっています。これにより、ハイブリッドクラウド環境でのバックアップの一元管理がよりスムーズになりました。
V12には、他にも様々な機能追加が行われています。新しくなったVeeam Data Platformを無償で30日間ご利用いただけますので、ぜひ体感してみてください。
イミュータブル機能の拡張によりランサムウェア対策に対応
V12では、イミュータブルなデータ保存の機能が大きく拡張されました。仮想マシンや物理マシンだけでなく、ファイル共有や、Oracle RMANのようなEnterprise Plug-in、パブリッククラウドもイミュータブルのサポート対象になり、ランサムウェアの攻撃に対して強固なガードを実現しています。
スライドの左が、Veeamのアーキテクチャーです。管理と格納を分離することで、より強固なセキュリティを担保しています。保存先であるVeeamリポジトリにリモートアクセスできないようになっており、オブジェクトストレージが安全に保たれているのが特徴です。
バックアップデータの移動・複製機能の向上
V12では、VeeaMoverという機能が実装されました。これは、バックアップデータを移動・複製するための機能で、例えば重複排除によって効率化されたリポジトリを移し変えたいときに、データを膨張させずに維持した状態で移動・複製できるようになっています。Backup & Replicationのコンソールから簡単に行えますので、ぜひお試しください。
Deep Drive オブジェクトストレージ&セキュリティ
ヴィーム・ソフトウェア株式会社
インサイド・システムズ・エンジニア
山田 圭吾
今回のV12では、以下のようなアップデートがありました。特にオブジェクトストレージへの直接バックアップが可能になったことで、活用の幅が大きく広がっています。
オブジェクトストレージに何をバックアップできるのかが気になっている方も多いのではないでしょうか。詳細は次のスライドをご覧ください。
NASのバックアップができるようになったのは、V12の大きな改善点の一つといえるでしょう。NASはこれまで、オブジェクトストレージにバックアップするのが難しい対象でしたが、V12ではフルバックアップが可能になっています。
さらに、オブジェクトストレージ設定においても2つの大きなアップデートがありました。1つ目はAzure Blobの不変ストレージに対応したことで、これによってランサムウェア対策にも効果を発揮するようになりました。そして2つ目は、Wasabi Cloud Storageの専用ウィザードができたことです。これによって、より簡単にわかりやすく設定できる仕組みに変わっています。
オブジェクトストレージ設定に追加された「接続モード」についても紹介していきます。
これまでのVeeamでは、オブジェクトストレージにデータを転送するときには必ずVeeamコンポーネント ゲートウェイサーバーを経由する必要がありました。しかし今回のアップデートにより、ダイレクト接続できるようになっています。
また、ゲートウェイを複数選択できるようになったことにより、ゲートウェイサーバの冗長化が可能になっています。
まとめ
この記事では、Veeam Backup & Replication V12 お披露目発表イベントの様子をレポートしました。今回発表されたV12には、ここでは書ききれない多くのアップデートがありました。新しくなったVeeam Data Platformを無償で30日間ご利用いただけますので、ぜひお試しください。